和田秀樹医師の『70歳が老化の分かれ道』がベストセラーだと言うので、早速取り寄せて読んでみた。私自身が古希を迎えるので、読むのにちょうど良いタイミングだと思った。
和田医師は灘高から東大医学へ進学したという絵に描いたような受験勉強の超エリートで、医療の専門は精神医療だと言う。以前、この著者の本を読んだことがあるが、医療の本でなく、我が家の子どもたちが中高の受験を迎える頃、このドクターの書いた受験用ハウツーものだった。どういう風に勉強をしたら良いかという指南本であったが、参考になったという記憶はない。
今回のこの本では、世間で広まっているいくつかの高齢者向け定説を全く否定した、逆説的な主張を展開している。例えば、高齢者になっても自動車免許証は返納しない方が良いとか、メダボの方が高齢者は長生きするとか、血圧はあまり気にしなくて良いとか、コレストロールは体に悪くないとか、一般的に言われていることと逆のことを言っている。また、血糖値を気にしたり、ダイエットしたりしないで、おいしいものを食べた方が免疫力のアップになるとか、素人の私にはそれらが正しいのかどうかは分からないし、かと言ってにわかに信じるわけにはいかないとも思った。
私は15年ほど前から糖尿病の予防治療を受けている。このままHbA1cが高い状態で過ごすと何年か先には本格的な糖尿病になって、いろいろな健康上の不都合が出てくると15年前に医師に言われた。それから毎月同じクリニックに行って、血液検査等を受け、薬の処方を受けている。主治医は糖分コントロールしろとか、ダイエットしろとか、食べ物の指示などは一切しないが、毎日、軽く汗をかく程度の運動をするようにとの指示だけ受けた。毎日運動することは至難の業であるが、本格的糖尿病に陥るのが嫌なので、週に3~4日はラジオ体操から始まって簡単なストレッチと筋トレ、ランニングマシーンの上で30分、3キロメールの歩行をしている。
食事の制限はされていないものの、もう10年以上自宅でおいしい白米のご飯を腹一杯食べた記憶がない。炭水化物は極力控えている。そのおかげで主治医は血液検査の結果を見ながら頑張っていますね、と言ってくれる。
本のタイトルである「70歳が老化の分かれ道」に来ている私であるが、とても和田秀樹医師の意見をストレートに受け入れることはできないが、70歳を過ぎて元気に過ごすには、男女ともに男性ホルモンがキーであること、とにかく人との付き合いを広げること、特にセロトニンという人に幸福感を与えるホルモンが重要であることなど、メンタル面での示唆は参考になる。やはり精神科医である。
私が中年に差し掛かったころ、会社の先輩から「男は50歳までの過ごし方で50歳からの能力にテキ面に差が出て、まったく使い物にならない男と、いろいろな経験やノウハウ、知識や技術が詰まった万能選手的な男との違いが明白になるよ。」と言われたものだ。これは仕事における男の能力面での話であるが、この本は、70歳からの過ごし方で健康に送れるか否かが決まってくると言っている。ということは私の場合、今年からの過ごし方で健康に送れるか否かが決まるということだ。